凸凹が凸凹にかがやくとき〜お腹の中のスプーン

凸凹が凸凹に輝くとき

凸凹の凸も凹も、どちらもその人そのもの。

どちらも輝く時、その人の全てが輝き、まんまるな光の輪を放ちます。

輝くまでの道のり①〜お腹の中のスプーン

みさきは1月うまれなので、2歳とちょっとの時に幼稚園の年少さんに入園しました。

その幼稚園は、幼稚園は楽しいところです。先生はお母さんから子供達を引き離す人ではありません。

ということで、子供が自分からバイバイってお別れできるまで、お母さんが付き添いをすることになっていました。

最初はたくさんの子供達と、そして、同じ人数のお母さんで賑わっていた園庭が、子供達の笑顔が増えるとともにお母さんの姿が減り、

3人、2人、そして、ついに私だけになりました。

妹のほなみの方が馴染んじゃって、せんせ〜何て言いながら教室に行く中、みさきと2人の園庭は、なんだか情けなくって、涙がこぼれます。

お迎えの時間になると、近くのミスドでおしゃべりしながら待っていたであろうお母さんの集団が仲よさそうにやってきます。

置いてきぼりのような気がして、余計にさびしくなる。

なんで、うちの子だけ、バイバイできないのかな。

ネットが無かった時代、

もしもし電話に電話したり、本屋で立ち読みしたり。

もう、どうして幼稚園に1人で行けないの、という思いだけが私の頭の中でいっぱいになっていきました。

その頃、私は、3人目を妊娠していて、

2歳のみさきと、1歳のほなみをつれて、大きなお腹で幼稚園に通い続けていました。

そのうち、

切迫早産で絶対安静の身となり、

幼稚園は休園することになりました。

1歳と2歳の2人の世界

は、豊かでした。

一日中家にいても全く飽きません。

2人でずーっとごっこ遊びをしています。

家の中なのにぐりとぐらのピクニックごっこまでできちゃいます。

安静のため家のことが出来ないので、時々ファミリーサポートの方に来てもらっていました。

その人から

「なんてお利口な2人なんでしょう!」って言われるんです。

幼稚園では、最後までお付き添いの親子なのに。

2歳のお姉ちゃん

2歳のお姉ちゃんはかいがいしく妹のお世話をしてくれます。

もちろん、けんかなんて日常茶飯事なんだけど、

ほなみがおしっこもらしたら、

一生懸命にタオルを濡らして絞って、

びちょびちょ拭いて、着替えさせてる。

起きてから寝るまで、本当に仲良しの2人は、

ただ一緒にいて、私もいっしょにいて、

同じ時間を過ごすことが幸せであると言っていたのだろう。

ある日、

おやつ食べよう、ってなった。

みさきは、えっちらおっちら椅子を運んで、

冷蔵庫から牛乳を出し、

テーブルにお皿を並べ、

コーンフレーク食べよう!って準備してくれた。

「おいしいね。おいしいね。の赤ちゃんも食べてるね」って

みんなで食べていたその時、

みさきがさけんだ。

あ、お腹の中にもスプーンあるかな?

私は、その瞬間に涙が溢れ出した。

なんて優しい子なんだろう。

こんな優しさを私は見ることが出来てなかった。 

幼稚園に行ってない、という一つの現実だけでいっぱいになってしまって、

こんなに大事な優しさを見てなかった。

みさきは、私に、「もう一つの目」を与えてくれた。

一つのことだけでなく、他の視点から眺めてみる

「もう一つの目」は、その後も、今でも、私の宝物です。