就労日誌③〜多様な社会は信頼から芽生える

この子の良さが、やっとやっと花開いてきているんだなあ。

この子色の花が咲き始めた。

働き始めて、

本人にも、

そして、きっと職場にも(本人から聞いたことから推察することしかできないが)

大きな変化が見られ始める。

定期的に収入があることで得られる安心感と、その事実に対する責任感が芽生える

まだ就労移行支援にいた頃のことを二人で話していて、ふと、つぶやいた。

「もう、どうやったらお金貯まるかな、って考えなくてもいいから嬉しい」

少ない工賃と、お年玉等の臨時収入で、どうやって好きなことしようか、欲しいもの買おうか、って考えていたんだね。

そして、その中からも貯めなきゃ、って思っていたんだね。

考えなくても、仕事に行くことでお金が入ってくる。

これって、え?って思うかもしれないよね。

だって、働いたらお金は入るでしょ。って。

もちろん、入る。

でもでも、障害者事業所の工賃は驚くほど低く、時給にできないほど。日給数百円。

それが、障害者雇用枠で就労が決まった瞬間から、

働いた分だけ、最低賃金が保障されるという環境になって、

責任からか、顔つきがしっかりしてきた。

一人で仕事のやりとりもしているので、語彙も豊かになってきた。

何より、自分の意思で使えるお金で出来ること、行動範囲も広がり、交流する人も増えて、世界が本当に広がってきた。

来年の雇用更新も本人が交わし、

「いつもありがとうございます。とってもたすかっています」

というお手紙をもらって、心から喜んでいた。

自己肯定、そして、日々の暮らしの安定がもたらす、情緒の安定を感じる。

少しずつ信頼関係が生まれて、他の仕事もさせてもらえるようになってきた。

お掃除が基本だったが、日々の本人の真剣に真面目に取り組む態度からか、他の仕事を任せてもらえることも多くなり、仕事に変化がでてきた。

単純作業がいいと思われがちだけど、娘は単純作業の繰り返しは苦手だ。

仕事の種類が増えると、もっと仕事が楽しくなり、そして、もっと仕事の種類が増えるという、いい循環になっている。

お互いに知り合うのに、時間が必要だけど、逆に、時間をかけたら信頼関係がしっかりと結ばれていくのだということを眼の前で見せてもらって、

人間っていいな。って思ってる。

なかなかすぐにはわからない娘の良さをしっかりと知ってもらえて、とっても嬉しい。

この写真は、アメリカの幼稚園の先生と。

不安そうな表情。

でも、この先生は、ビッグマザーと呼ばれて愛情あふれ保護者からの信頼も厚い先生だったんです。私も娘もたくさんの愛をもらいました。

これからの世の中。

どんどん多様になっていくと思う。

娘が仕事することで、

また一つ職場の人たちの心に多様性の種をまくことができているのかもしれない。

多様な社会は小さな信頼関係の積み重ねなのかも。